★月曜日
☆モンキーキング
あれは今から7年前。大阪から出てきた俺は、西東京市にある柳沢という町に部屋を借りた。
部屋が決まれば次は仕事と、駅前のパチンコ屋で働く事に決めた。そこで出逢ったのがケーシーさんだった。
ハンサムで背が高く、気さくで優しい人で、聞けばベーシストだと言う。
第一印象でケーシーさんを大好きになった俺は、もちろんライヴに行ったのだが、はっきり言って度肝を抜かれた。
こんなにかっこいいベーシストがいるのかと、もう体に電気が走りまくり。凄い凄い凄い。ホンマにかっこいい。音もプレイも何から何までが完璧。何よりベースを弾いてるその姿が美しい。
もう一回言いたい。
ベースを弾いてる姿が、この世のものとは思えないほどに美しい。俺はただケーシーさんのベースを弾いてる姿が観たくて足繁くライヴハウスに通った。
ケーシーさんは沖縄県出身で、高校卒業後にベースを持って上京。東京で組んだ『ISIS(イシス)』というバンドで華々しくメジャーデビュー。激しい争奪戦の末に破格の条件で鳴り物入りでのデビューだった。
その後、紆余曲折を経て、俺が出逢った当時は『JapanBlue』というインディーズのバンドで活躍していた。
バンドが売れているとか、メジャーだとか、そんな事は俺にはどうでもよくて、ただ単純にケーシーさんは信じられないぐらいにカッコ良かった。そして人間として大好きだった。
俺はケーシーさんを兄貴と仰ぎ、沖縄では兄貴の事を『兄ぃに(にいに)』と呼ぶ事から兄ぃにと呼ぶようになっていた。
絶対この人とバンドする!この人しか考えられん!俺は必死に兄ぃにを口説きに口説いた。本気で運命を感じていたし、絶対一緒にやるんだと信じていた。
出逢いから約2年超。ついに兄ぃにとバンドを組む時が来た。
『ロールスロイズ』誕生。
(つづく)
ロールスロイズ
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